1995年に買って書棚でホコリをかぶっていた「ソフィーの世界」が超面白い。
知らない人のために説明しよう。この本は哲学ファンタジーという、まぁとても変わった本です。ファンタジー小説を読みながら、哲学の歴史が学べるという具合です。
買った当時に読了してるんですが、すっかり内容を忘れていました。
で、その後にプログラマになり、聖書を読むようになった今、この本を読むと最高に面白いです。
物語の出だしはこうです。
ソフィーという女の子が、ある日一枚の紙切れを郵便受けに見つけるのです。
「あなたはだれ?」
そして、その後また紙切れを見つけます。
「世界はどこからきた?」
こんな紙切れが立て続けに来たらびっくりですよね。そして輪をかけて変な手紙が彼女のもとに届きます。
「愛するヒルデ
十五歳の誕生日おめでとう。パパはヒルデに、なにかおとなになるのに役立つようなプレゼントをしたいと思っている。この手紙はソフィーに送る。そうするのがいちばん手っとり早かったのだ。
愛しているよ。パパ。
ソフィーはヒルデという少女のことを知りません。いったい誰?なんで彼女の父親はソフィーにわざわざ自分の娘の誕生日カードを送るのか。彼女は混乱します。
まぁ、こんな具合に少しずつ彼女の哲学の世界へ引きずり込まれるのです。
聖書を読んだことのない人も楽しめますが、聖書を読んだことのある人は、もっと楽しめるでしょう。物語の最初には、アレオパゴス、アテネの小高い丘の上にある処刑場、そう、何百年も後にパウロがアテネでエピクロス派とストア派の哲学者と論じ合った場所が出てきます。その光景が不思議と目に焼きつくように見えてきます。ソフィーの世界を読めば、パウロがどんな環境へ乗り込んでいって伝道していったのか、そのバックボーンが垣間見える分けです。時々、聖書とリンクしているから面白い。
プログラマの視点から見ても面白い。プラトンのイデア論は、オブジェクト指向の考え方につながります。魂は元々私たちの体に降りてくる以前に「イデア界」というところにあった。例えば、たい焼きは、たい焼き機の型があってこそ、おなじような形をしたたい焼きが作れる。イデア界には「型」にあるものがあるんだと。私たちの魂はイデア界にあって、この世に生を受けてイデア界のことが忘れてしまうんですが、例えば馬を始めて見たときに、イデア界で見た完全な馬の型の記憶が呼び起こされるというものです。面白いですね。オブジェクト指向もクラスという型があって、インスタンスをたくさん生成することができる。
どのように哲学が生まれ、宗教が生まれ、そして私たちはどこから来て、この世界は何のために存在するのかってことをいつも考えているような人・・・そんな人はもうこの本もとっくに読まれているかもしれませんが、オススメしますよ。
ちなみに、ミステリー小説としてもかなり秀逸だと、私は思います。
手紙の謎、分かりますか? これまでの小説史上稀に見るすごいどんでん返しが待っています。
文体も優しい感じです。難しい言葉をなるべく用いないで、10代の人でも読めるように配慮されています。だからとっても読みやすいはず。哲学なんてまったく興味なかったよって人もぜひ読んでください。おすすめです。